会社の退職最終日には、今までお世話になった方に挨拶をすることが大切です。最後だからと気を抜かず、好印象を持たれるような退職挨拶をしておきましょう。
この記事では、退職の挨拶をする際のポイントや伝えるべき内容について解説します。
また、退職挨拶の例文もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
退職最終日には挨拶が必須!誰に挨拶をすべき?
アルムナビのアンケートによると、円満退社をした人と退職後にも交流が続いているケースは9割以上にも及んでいます。一方、不快な辞め方をした人とのその後交流が続くケースはかなり少ないようです。

参考:アルムナビ「見送った側の社員が思う円満退職のコツをアンケート結果から考察」
円満退職をするためには、退職最終日の対応が重要です。
まずは、退職最終日に誰に対して挨拶をすべきかをチェックしていきましょう。
直属の上司
直属の上司には、退職する旨を事前に知らせてあるはずです。しかし、事前に知らせたからと挨拶をおざなりにしたまま退職するのはNGです。
退職最終日にも、あらためて丁寧な挨拶をして感謝の気持ちを伝えましょう。
所属部署、関わりの深い部署
自身が所属している部署はもちろんのこと、社内の他部署でも関わりのあるところには挨拶をしておきましょう。
他部署については、特に関わりが深い方やお世話になった方だけに挨拶をしても特に問題はありません。
少人数の職場なら全員に挨拶を
中小企業など、従業員が少ない職場の場合には全員の前で挨拶をしておきましょう。
少人数で協力しながら働いてきたにもかかわらず挨拶をしないまま退職してしまうと、「失礼な人」という印象を与えてしまいます。
取引先など社外の人
社外との取引がある場合には、直接挨拶に行くかメールなどで挨拶を済ませておきましょう。
足を運ぶべきかメールで済ませるべきか迷った場合には、上司に相談して判断を仰ぐのがおすすめです。
退職最終日の挨拶で伝えること
退職最終日の挨拶ではどんなことを話せばいいかと悩んでしまいがちです。好印象を残すためにも、伝えるべきことを事前にまとめておきましょう。
退職挨拶の基本的な構成は以下のとおりです。
- お礼
- エピソード
- 今後のこと
- 結びの挨拶
具体的な内容を順番にみていきましょう。
お礼
お忙しい中、挨拶のお時間をいただきありがとうございます。
本日をもって退職することになりました。 |
まずは、挨拶の機会をもらったお礼と、最終出社日である旨を伝えましょう。
退職理由を話すときには「一身上の都合」とするといいでしょう。
エピソード
入社直後は勝手が分からず業績も伸び悩みましたが、みなさまの丁寧なご指導のお陰で成長できました。
特に、〇〇プロジェクトに参加できたことは私の財産です。 |
退職挨拶には、これまでの仕事の中で印象に残っているエピソードをぜひ織り交ぜたいものです。携わった仕事や印象的な経験、実績や成果など、自身の軸となるようなエピソードをピックアップして話してみましょう。
今後のこと
今後は◯◯業界に転身し、◯◯領域に取り組んでいくつもりです。
この会社での経験を活かし頑張りたいと思います。 |
退職挨拶で今後のことを無理に伝える必要はありません。しかし、これからどんな人生を歩んでいくのかについて、多少伝えておくのもいいかもしれません。
あまり具体的な内容を伝えないよう気をつけながら、今後の見通しについて軽く話してみましょう。
結びの挨拶
これまで大変お世話になりありがとうございました。
皆様のご健康とご活躍を心よりお祈りしています。 |
退職挨拶の最後には締めの言葉を伝えます。感謝の言葉に加え、ほかの方の健康や活躍を願う気持ちを伝えるのがおすすめです。
退職最終日の挨拶では何を話す?例文をご紹介します
退職最終日にどんな挨拶をするかによって周囲に与える印象は大きく変わります。感謝の気持ちを余すことなく伝えられる印象の良い挨拶をしたいものです。
ここからは、シチュエーションごとに退職挨拶の具体的な例文をご紹介します
一般的な退職挨拶の場合
お忙しい中、退職挨拶のお時間をいただきありがとうございます。一身上の都合により、本日付で退職することになりました。 私にとって○○業界は未経験だったため、最初は戸惑うことばかりでした。しかし、皆さまのサポートによって少しずつ仕事に慣れることができました。 皆様と一緒に進めたプロジェクトでは多くのことを学ばせていただきました。共に仕事ができたことを、とてもうれしく思っています。 私はこの会社でたくさんの人に支えられ、これまで頑張ってこられました。これからも、この会社で身につけたことを生かして働いていこうと思います。 最後になりますが、皆さまの今後のご活躍とご健康を心よりお祈りしております。本当にお世話になりました。 |
ミーティングなどで退職挨拶をするときには、2~3分ほどで伝えられるような内容を考えておきましょう。入社当時の気持ちや仕事のエピソードなどを伝えると、スピーチに厚みが出やすくなります。
ミーティングに多くの方が参加する場合には、限られた方にしか伝わらないような内輪の話題を出すのは避けることが重要です。多くの方に伝わるようなエピソードを取り混ぜれば、共感を得やすくなります。
朝礼や夕礼で退職挨拶をする場合
朝礼の貴重なお時間をいただきありがとうございます。私事ではございますが、本日をもちまして退職する運びとなりました。 これまで支えてくれたチームの皆さん、大変お世話になりました。皆さんのご健康と今後のご活躍を心よりお祈りしています。ありがとうございました。 |
朝礼や夕礼は限られた時間で行われるため、挨拶が長くならないよう注意しましょう。
1分以内で話せるようなスピーチを考えておくとスマートです。
社内の退職挨拶まわりをする場合
◯◯さん、お疲れ様です。本日をもちまして退職することになりました。 ◯◯さんのご指導を活かして今後も頑張っていきます。本当にありがとうございました。 |
退職最終日にはお世話になった部署や上司へ挨拶回りをすることがあります。
お菓子などを準備し、お礼の挨拶を伝えましょう。
社外の退職挨拶まわりをする場合
このたびはお忙しい中お時間を設けていただきありがとうございます。勝手ながら◯日をもって退職することになりました。 ◯◯様には数多くのご支援をいただき大変感謝しております。 こちらが後任の◯◯です。まだまだ未熟ですが信頼できる者ですのでご安心いただければと思います。 これまで本当にありがとうございました。今後とも弊社を引き続きよろしくお願いいたします。 |
取引先など社外の人に挨拶をするときには、引き継ぎに関する情報を伝えておきましょう。可能であれば、後任の担当者とともに挨拶をし、紹介の時間を設けたいものです。
送別会で退職挨拶をする場合
本日はお忙しい中、私のために送別会を開いていただきありがとうございます。 私事ではございますが◯月◯日をもって退職することになりました。 ◯◯プロジェクトでは、皆さんに連日サポートしていただいたことが記憶に残っています。このプロジェクトの成功体験は私にとっての大きな財産です。 これから別の業種にチャレンジすることになりますが、この会社での経験を活かして頑張ってまいります。お世話になり、本当にありがとうございました。 |
送別会が開かれる場合には、挨拶を求められるのが一般的です。送別会を開いてもらったことへの感謝を込めて、具体的なエピソードを交えながら挨拶をしましょう。
退職挨拶をメールで送るときの例文は?
退職時に、メールで挨拶をするケースもあります。
ここからは、退職挨拶をメールで送付するときのポイントや例文をチェックしてみましょう。
社内あての退職挨拶メール例文
お疲れ様です。◯◯課の◯◯です。 このたび、一身上の都合により、本日をもちまして退職することになりました。 本来であれば直接ご挨拶をすべきところ、メールでの挨拶にて失礼いたします。 皆様には入社当初からご指導ご鞭撻をいただき、非常に多くのことを学ばせていただきました。大変感謝しております。 この会社で得た経験を今後も活かしていきたいと思っています。 最後になりましたが、皆様のさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。 本当にありがとうございました。 |
社内の人にはできれば直接会って退職挨拶をしたいものですが、やむを得ない場合にはメールで挨拶をします。別部署の方など直接会うのが難しい方にも、メールで退職挨拶をしておきましょう。
なお、業務上の都合で退職後も連絡を取る必要があるのなら、連絡先を記載しておきましょう。
社外あての退職挨拶メール例文
いつもお世話になっております。◯◯株式会社の○○です。 私事で大変恐縮ですが、一身上の都合により◯月◯日をもって退社することとなりました。 本来であれば直接ご挨拶をすべきところ、メールでの挨拶になりましたことをお詫び申し上げます。 なお、後任は弊社の◯◯が担当させていただきます。後日、着任のご連絡を〇〇よりさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 最後になりましたが、貴社のご発展と◯◯様のますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。 |
社外への挨拶は退職最終日ではなく、できるだけ早めに済ませておくのが無難です。特に、後任者の紹介など引き継ぎ事項がある場合には、退職最終日までにきちんと対応しておきましょう。
社外への挨拶はメールで済ませられることもありますが、直接足を運ばなければならないケースもあります。状況に応じて柔軟に対応することが肝心です。
なお、社外あての退職挨拶メールに私用の連絡先を記すのは避けるのが無難です。退職後に連絡を取るとトラブルにつながることもあるので、十分注意しましょう。
退職最終日に挨拶をする際に気をつけたいポイント
退職最終日の挨拶で言うべきでないことを話してしまうと、悪い印象を与えてしまうおそれがあります。また、状況によっては大きなトラブルにつながるおそれもあるので十分注意しましょう。
ここからは、退職挨拶で気をつけたいポイントをチェックしていきましょう。
退職の事情は細かく話さない
退職最終日の挨拶で退職理由を話す際には基本的に「一身上の都合」または「家庭の事情」とします。細かい退職理由や自身の事情を伝える必要はありません。
また、転職先が決まっている場合でも、退職の挨拶の際には具体的な社名を明かさないのが一般的です。今後について話したい場合には「◯◯系の業種」のようにぼかして伝えましょう。
批判的な退職理由や愚痴を言わない
あらゆる方が円満退職をするとは限らず、中には前向きではない理由で退職を選ぶ方もいます。
日経メディカルプロキャリアによる「退職理由に関する意識調査」でも、人間関係の不満や会社の将来性への不安、労働条件の悪さなどネガティブな退職理由が上位を占めています。
参考:日経メディカルプロキャリア「退職理由に関する意識調査」
しかし、退職にあたって批判的な意見をしたり、愚痴を言ったりするのは避けましょう。
退職挨拶の際に社内体制の悪さや人間関係の悪さなどを話してしまうと、禍根が残ってしまいます。また、捨て台詞のようになってしまい、あとあとトラブルに発展してしまうかもしれません。
気持ちよく退職するためにも、印象の良い挨拶を心がけましょう。
簡潔にまとめる
退職最終日の挨拶は短く簡潔にまとめることが重要です。
ほとんどの場合、退職挨拶は業務時間内に行われます。つまり、ほかの人が仕事に充てる時間を割いてもらっている状況なのです。
長々と挨拶をしてしまうと、周囲の人の仕事に支障が出てしまいます。伝えたいことがたくさんあるという方もいるかもしれませんが、挨拶は短くまとめましょう。
退職最終日には感謝の気持ちを込めて挨拶をしよう
退職最終日は、周囲の方とコミュニケーションを取る最後の機会です。これまで築いた人間関係は退職したからといって切れてしまうわけではないので、このタイミングで悪い印象を与えてしまうのは得策ではありません。
「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちで、マナーを守りながら感謝の気持ちを込めて挨拶しましょう。周囲の方の印象に残るような退職挨拶をすれば、すっきりとした気持ちで次に進むことができるでしょう。