40代ともなると、会社や組織の中では中堅から、重鎮的な役割となってきます。
新卒から同じ会社で勤めてきたとすれば、すでにその会社で20年以上働いているはずで、今後会社から切り捨てられたり、冷遇されたりする可能性は相対的に低いでしょう。
そのような立場から転職をして、新しい環境にチャレンジするのはリスクも少なくありません。
40代で転職に失敗をした場合はどのようなリスクがあるのか、注意点や対処法も含めて詳しく解説をしていきます。
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40代の方が転職で失敗しやすい理由
理由1】待遇面で妥協をするのが難しい
年収条件やポジション条件などを妥協することは、40代など年齢を重ねるほど難しくなります。
前職でも評価されていない訳ではなかったり、家族がいて子供がちょうど進学するタイミングだったりすると、ライフプラン的にもなおのこと妥協をするのは難しくなっていきがちです。
転職で年収がアップした事例は年齢が上がるほど少なくなりがちで、特に未経験業界への転職だと更に難しくなります。
転職後の収入の変化 | 人数(人) | 全体の割合(%) |
⁻300万円以上 | 27 | 10.3 |
⁻200~⁻299万円 | 19 | 7.3 |
⁻199~⁻100万円 | 32 | 12.2 |
⁻99~⁻1万円 | 47 | 17.9 |
+1~99万円 | 98 | 37.4 |
+100~199万円 | 24 | 9.2 |
+200~299万円 | 4 | 1.5 |
+300万円以上 | 11 | 4.2 |
全体 | 262 | 100.0 |
- 調査対象:22歳〜55歳の、1社以上の転職経験がある男女の方
- 調査期間:2024年11月7日~11月8日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:483人(女性241人/男性242人)のうち、転職経験がある男女262人のみ抽出
理由2】市場分析の結果を冷静に受け止めない
10年以上同一の業界・業種で働いていると、その領域ではある程度の専門性を持っていると自他共にみなされるケースが増えていきます。
ただし、長年その領域で働いていることと、専門性を業界で広く認められていることには大きな差があります。
例えばSE職の40代転職時の平均収入は600万円ほどと言われていますが、「自分の実績であれば平均年収以上の待遇を受けられる」と考える方は多いです。
ただ、その業界で平均年収の壁を突破するのは、非常に難しいことです。また、企業によっては、多少のスキルの差に関わらず転職では一律の条件でスタートさせることも珍しくありません。
転職を希望する業種・業界の市場状況や条件を客観的に見た上で、自身の転職プランを整理するべきでしょう。
理由3】数字などの具体的な条件しか確認しない
求人企業の売上高や平均年収など、具体的な数字の条件でのみ比較をする方は多いですが、たとえ採用時に適用された年収条件が他の会社より多少高額でも、会社の風土や文化、方針とマッチしていなければ、結果的に他に会社に入社していたほうが好待遇で活躍できるケースも少なくありません。
待遇の高い・低いや会社規模の大小は少なからずありますが、中長期的に見ればお互いに相性が良く、かつ評価をされている会社に入ったほうが、入社後の待遇は高めやすいです。
また、現実的な問題として、フルリモートなどの労働環境でない限り、スキルや実績があれば、会社の風土などとのマッチングが薄くても評価されるケースは多くありません。
実際に、40代の方が転職前の職場や転職先で、人間関係を理由に離職するケースは少なくありません。
- 40~44歳:17.5%(全理由のうち)
- 45~49歳:25.7%(全理由のうち)
40代からの転職失敗で起こりうるパターン【悲惨な状況に?】
パターン1】築き上げたキャリアの評価がリセットされる
前年度の年収が高く、高い役職にも就いていた方が、転職後の職場で活躍できずにすぐ離職したとなると次の転職先では前々職から前職へ転職した時と同等の評価は受けられない可能性も十分あります。
短い面接時間では転職希望者の詳しい評価は難しいので、履歴書などから前職での実績や待遇を見て採用・不採用を判断するケースも多いです。
新卒で入った1社でだけ働いていた時は、転職時もその会社での実績のみを評価されていたから良かったものの、転職した次の会社で早期の離職があったりすると、面接官からすればキャリアの中でツッコみ所が生まれてしまいます。
つまり、転職をした結果、1社目で受けていた待遇になかなか戻れず、かつ転職先でも評価をされず転々とする…ということになりかねません。
パターン2】希望する業務内容と結果的にかけ離れてしまう
業務のイメージも会社によって全く異なるケースは少なくありません。
同じ業種でも転職先では全く違う作業、やり方、考え方が当たり前だったり、その業種が社内でおかれている立場やポジションも前職と全く異なるケースは多いです。
転職をする際に抱いていた目標や活躍のイメージと実情がかけ離れていることに、転職後すぐに気づいてしまった場合、何をモチベーションに仕事をすれば良いか分からなくなってしまう可能性もあります。
このような状況に陥った場合、再びキャリアをどのように選択するかの難しい判断を迫られることになります。
パターン3】異なる仕事文化に馴染めない・社員から反発を受ける
同じ業界の会社でも、それぞれの会社が異なる企業文化や価値観を持っており、価値基準や評価基準が異なるケースは少なくありません。
運よく管理層として転職できたとしても、配属された部下に対して従来の企業文化とは異なる内容を言ったり、異なる言い方をしたりすると、反発を受けやすくなってしまいます。
こうした反発を周囲から受けてしまうことは、社内での自身の評価を下げる原因にもなってしまいます。
周囲からの反発が増えると仕事が難しくなるだけでなく、精神的にも疲弊してしまいます。
パターン4】リーダー・管理職としての評価が得られない
仕事で求められる人材は、大きくジェネラリストとスペシャリストの2種類に分けられます。
ジェネラリストとは”幅広い知識を持った人材”という意味で、日本企業では総合職で様々な部署を短期で異動(ジョブローテーション)しながら少しずつ仕事を覚えていくケースが多く、ジェネラリストが多い土壌だと言われています。
一方、スペシャリストとは特定の業種に特化した人材のことで、例えばエンジニア業界だとデータベースエンジニア、アプリケーション基盤エンジニアなど、狭い領域で活躍できるスキル・知識をもった人材を指します。
以前はジェネラリスト育成を基本方針とする日本企業が多くありましたが、IT技術の進展などによる業務の複雑化・専門化によってスペシャリスト育成の必要性や、スペシャリスト人材への評価は高まっています。
また、スペシャリストは特化したスキルを持っており、どの職場でもそのスキルが求められているので、環境が変わっても活躍できるというメリットがあります。
逆にジェネラリストとして評価されてきたリーダーや管理職は、環境や周囲との人間関係、相性に評価が左右されやすい傾向があり、環境が変わることで仕事が上手くいかなくなるケースも少なくありません。
40代の転職で失敗しないポイント
ポイント1】焦って転職活動を進めない
前述の通り、40代から転職をするのは簡単なことではなく、失敗してしまう可能性も十分あります。
長年勤めていた会社を転職するのであれば、失敗した時に失うものも多くなってしまいます。
40代の転職は、気持ちや勢いだけで進めても失敗した時のリスクが大きくなってしまいます。
前職を辞めるタイミングなども、慎重に決めていくことをおすすめします。
ポイント2】日頃から転職も選択肢においた働き方をする
40代の人材が同業界で転職をするとなると、全ての転職活動が転職サイトや転職エージェントを通じておこなわれる訳ではありません。
優秀な人材は非公式なルートからヘッドハンティングを受けていたり、既に転職先の企業と繋がりがあったりすることも多いです。
こうした繋がりがない状態で転職を成功させるとなると、年齢も相まって難易度はより高くなります。
従来よりも転職がより一般的になり、その分転職で失敗するケースも増えた今では、キャリアフローや転職に至るまでのストーリーをどのように見せるかも考える必要が出てきます。
ポイント3】待遇が下がっても後に評価される自信があるか
転職時の給与は過去の経歴や面接の印象で判断されるため、能力が過大評価されているケースもあれば、過小評価されているケースもあります。
求職者が確固たる自信を持っていて、最初の条件が期待とかけ離れていたとしても、転職後に確実な成果を出して評価を上げられる自信があるのであれば、転職の成功率は上がります。
逆に、業務に対する自信がない方は、最初に提示される条件に固執しすぎて転職先がいつまでも決まらなかったり、本当にマッチする企業を逃したりする恐れがあります。
ポイント4】新人として環境に馴染む努力をする
社会人としてキャリアがあり、役職者としての転職であったとしても、新しい転職先では新人となります。
前述の通り、40代といえども転職先の人間関係を全く気にしないことは難しく、逆に人間関係を構築しようとしないと、転職先のキャリアや成長を狭めることになります。
時には下手に回りながら、新しい職場に馴染む努力も40代の転職では重要なポイントです。
40代の転職で失敗する人の特徴まとめ
年齢階級 | 転職者数 | 転職者に占める割合 |
---|---|---|
25~34歳 | 74万人 | 25.0% |
35~44歳 | 55万人 | 18.6% |
45~54歳 | 52万人 | 17.6% |
※総務省統計局の労働力調査(詳細集計)2023年1~3月期平均の結果より(2023年5月12日公表)
転職者は35歳までの人が多いと思われがちですが、近年はそれ以上の年齢の方の転職も増えており、企業側でも40代などを積極的に採用しようという機運が高まっています。
ただ、実際には前述の通り、求める待遇や仕事に集中できない生活環境、新しい環境への馴染みにくさなど、求職者側が抱える事情によって転職が上手くいかない事例は依然として多いです。
40代からの転職で失敗しないためには、求職者自身が変化していくことも非常に重要なポイントといえます。