中国はアメリカに次ぐ世界2位というGDPを誇る国で、現在も中国経済は飛躍的に発展しているといわれます。
最近では、世界を席巻するような成長率を誇る中国企業も増えつつありますが、中国で働く人の平均年収は果たしてどれくらいなのでしょうか。
そこで今回は、中国の具体的な平均年収について、資料をもとに解説していきます。
また、中国で仕事をするためのポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
中国の平均年収は日本よりも高い?低い?
中国はめざましい発展を遂げつつあるといわれるため「国民の年収もかなり高いのでは?」というイメージをもつ方も少なくないでしょう。
しかし、中国全体の平均年収は日本と比較してかなり低いのが現状です。
まずは、中国国家統計局によって2023年に発表された中国の平均年収をご紹介します。資料によると、都市部の非私営企業で働く人の年収平均は12698元(257万円)だったといいます。また、私営組織で働く人の平均年収は8340元(約146万円)となっています。
日本の国税庁によれば、2019年の日本の正規雇用の平均年収は503万円(手取り約393万円)となっています、また、非正規雇用の平均年収は175万円(手取り約143万円)でした。
数値を比較すると、中国の労働者の年収は日本と比較してかなり低めということになってしまいます。
中国の人口は2025年時点で14億人以上ですが、収入格差が激しく、低所得層が6億人もいるといわれます。高収入を得ている労働者がいる一方で、貧困労働者も多いというのが中国の現状です。
中国の平均年収【地域別】
中国では都市部ほど平均年収が高い一方、農村部の平均年収はかなり低めとなっています。地域ごとに異なる年収の平均をご紹介していきます。
北京をはじめとした大都市の平均年収
中国で最も平均年収が高いのはやはり首都の北京市です。
北京の平均年収は近年上昇しており、1ヶ月の給与平均は11187元(約18万円)と高めです。年収に換算すると134244元(224万円)となっています。
特に平均年収が高いのは、コンピュータや通信関係、貿易関係、財務関係の職種です。
上海や大連など都心部の平均年収
北京に次いで年収平均が高いのは、上海市や深圳(しんせん)市、大連市などです。上海市や深圳市の平均年収は日本円換算で200万円を超えています。
最近では国外の企業が中国の都市部に拠点を構えるケースも増えてきました。世界的な企業の拠点が増えることでインフレが起こり、賃金平均も少しずつ上昇しています。
農村部の平均年収
中国では都市部と農村部の年収平均に大きな隔たりがあります。農村地で働く人の平均年収は11422元(17万円)にとどまっています。
農村部の労働者の年収は、首都北京で働く人の月収にも満たないケースが一般的です。
ただし、中国は日本と比較して物価が安く設定されています。そのため、たとえ低収入であっても生活苦には陥りにくいでしょう。
また、農村部ではある程度自給自足の生活をすることも可能です。
中国の収入格差の実態【年収が高い人の割合は?】
階層ごとの収入格差が大きいのが中国の特徴です。富裕層の年収は数千万円にも及びますが、低所得者層の年収平均は100万円以下とかなり低めです。
ここからは、中国の年収格差についてみていきましょう。
平均月収が35万円以上の人はごくわずか
中国に対して「富裕層が多い国」というイメージをもつ方は少なくないと思います。しかし、平均月収35万円以上を得ている中国人は、人口全体の0.05%にとどまるといいます。中国全体の人口は14億人以上ですが、そのうちの0.05%というと約70万人ほどです。
中国では身分によって収入が異なります。特に、日中戦争や内戦などで国に貢献した元共産党高級幹部の子弟(紅2代、紅3代)にあたる人は収入が高めとなっています。また元官僚にあたる官2代、官3代と呼ばれる人の収入もかなり高めです。
なお、金融大手企業クレディ・スイスの調査では、世界の保有資産額上位の10%は中国に集中しています。中国では、一部の富裕層が世界トップの資産を所有しているのです。
しかし中国では富の再分配という考え方が希薄なため、都市部と農村部には大きな格差が広がっています。
月収1万円台という中国人も多い
中国では一部の上層階級を除き、多くの国民の月収がかなり低いのが現状です。人口の8割以上は、月7万円以下という収入で暮らしているといいます。
大多数の国民の収入が低い原因の1つは、中国独自の戸籍制度にあります。
中国の戸籍制度は日本とは大きく異なり、都市戸籍と農村戸籍に二分されています。日本では転居によって住民票を移すことが可能ですが、中国で農村戸籍に生まれた人は都市戸籍に移すことが認められません。
農村戸籍を持つ人の働き方は、農民または農民工に限定されています。また、農村戸籍を持つ人が都市の学校に入ることもできません。
中国では戸籍上の格差により、何億人もの人が貧困労働者になってしまう実情があります。
中国都市部の大手企業は平均年収が高い傾向にある
ここからは、中国国家統計局の資料をもとに、非私営企業や私営企業の平均年収をチェックしていきましょう。
都市部の非私営企業(国営企業等)の平均年収
まずは、中国都市部にある非私営企業(国営企業や国有企業、株式会社等)の平均年収をみていきましょう。
非私営企業の2022年の従業員年収は114,029元(約239万円)でした。中国東部の沿岸地域では、平均年収は高めに設定されます。
一方で、同じ非私営企業中部地区や西部地区の平均年収はやや低めです。
都市部の私営企業の平均年収
続いて、民間事業所をはじめとした私営企業の平均年収をご紹介します。
たとえ都市部であっても、私営企業で働く従業員の平均年収は65,237元(約136万円)とかなり低くなってしまいます。
また、成長率もコロナ禍の影響などにより大きく下がっているのが現状です。
都市部の一定規模以上企業の平均年収
なお、中国企業の中でも大手と呼ばれる有名企業の年収はかなり上がっています。
中国のインターネットサービス会社「智聯招聘」が発表した「2022年大学生就職率調査報告」によると、中国上位企業の平均年収は以下のとおりです。
企業名 | 開発職の平均年収 | アルゴリズム職の平均年収 |
拼多多 | 1031万円 | 1165万円 |
---|---|---|
快手 | 802万円 | 840万円 |
美団 | 707万円 | 802万円 |
阿里巴巴 | 688万円 | 802万円 |
バイトダンス | 687万円 | 745万円 |
百度 | 650万円 | 783万円 |
テンセント | 612万円 | 668万円 |
京東 | 535万円 | 707万円 |
例えばECプラットフォームを手掛ける「拼多多」は、開発職とアルゴリズム職でそれぞれ1,000万円を超える年収を誇ります。
また、テクノロジー企業「阿里巴巴(アリババ)」や検索エンジン提供会社「百度(バイドゥ)」といった企業の年収もかなり高めです。
日本人にも「中国で転職する」という選択肢はある?
転職の選択肢として海外を見据えている方もいると思います。
ここからは、中国企業や中国国内の日系企業に転職するときのポイントについて解説します。
中国に支店を置く日系企業は減少している
平成期には、日系企業が中国に拠点を構える動きが活発でした。中国は人件費や製造費が安いため、生産効率がアップしやすくなるのです。
しかし近年では社会情勢が悪化しており、中国進出を目指す日系企業も減少傾向にあります。また、新型コロナウイルス感染症の蔓延も、中国進出企業数が大きく減少した原因の1つです。
帝国データバンクの調査によると、平成期には14,000社以上という企業が中国進出を実現していました。現在は中国進出している日系企業の数は約13,000社ほどに減少しています。
中国系企業は年収平均が比較的高め
最近では、大手中国系企業を選んで転職する日本人も増えてきました。
日本人向けの求人を出している中国系企業は比較的多く、好条件の求人も充実しています。特に、情報通信事業や電子メーカーなど成長期にある業種を選べば、効率よく高収入を得ることも十分可能です。
ただし、中には給与がかなり低い中国系企業もあります。中国で就職する際には、給与面の条件を細かく確認しておくことが重要です。
中国で働くにあたって語学力は必要?
中国で転職するにあたって気になるポイントの1つに語学力があります。
もちろん、中国語の習得が必須という企業は少なくありません。中国で働くにあたって、中国語でのコミュニケーションが必要な場面は多々あります。
しかし、中には語学力不問で日本人を募集している求人もあります。こういった企業を選べば、働きながら中国語を身につけることも可能となります。
仕事をする中で中国語を学んでいけば、将来的に中国企業で昇進を目指したり中国国内で転職したりする際にも有利になるでしょう。
「中国で働きたいけれど語学を身につける余裕がない」という方は、語学力不問の求人を探してみるのもいいかもしれません。
中国をはじめとした海外企業を転職の選択肢に入れるのも一つの手
中国の平均年収は日本と比較してかなり低めです。とはいえ、中国は経済格差が大きく、企業や職種によっては日本の平均年収を大きく上回ることもあります。
今後の働き方について悩んでいる方は、中国に拠点を置く日系企業や、発展めざましい中国系企業への転職を選択肢に入れてみましょう。
中国で働くにあたって重要なのは、働く地域や業種を注意深く選ぶことです。上昇傾向にある企業を選んで転職すれば、かなりの高収入を得ることも十分可能です。
転職に関するお悩みを抱えているのなら、ぜひ転職エージェントに相談してみてください。